Mac24

深川市の中学校がMacintoshを導入! NetBootで管理負担を軽減


2005年5月29日

24日に都内で“平成17年度 情報教育対応教員研修全国セミナー”が開催された。同セミナーではアップルコンピュータ(株)による“最新ソフトウェアを使ったカリキュラム”や熊本市立飽田東小学校や立命館宇治中学校・高等学校、北海道・深川市の取り組みなどが紹介された。

都内で開催された“平成17年度 情報教育対応教員研修全国セミナー”
都内で開催された“平成17年度 情報教育対応教員研修全国セミナー”

北海道深川市総務部総務課課長補佐の小杉邦久氏は「(情報教育の)講習会などさまざまな活動を行なってきたが、このような講習会に参加していただけるのは時間的に余裕のあるお年寄りが中心」「機器を導入しても保守が安定継続しない、活用されない」など地域の情報化を進める上での難しさを振り返った。そして、これらの問題を解消するために、保守の体制を一般行政と一元化した。つまり、コンピューターの活用と指導は先生にお願いし、それ以外は教育委員会が担うということを明確にした。また、ITヘルプデスクの機能を学校向けに展開し、教師のスキルアップに役立てるようにしたと説明した。「従来は、短期に集中的に、しかも希望者だけに指導が行われていた。参加者のスキルは考慮されていないし、こういした研修で身につけられるものは限られたものになってしまう。先生同士で教え合うということもされておらず、格差が広がるだけだった」と話す。

北海道深川市総務部総務課課長補佐の小杉邦久氏
北海道深川市総務部総務課課長補佐の小杉邦久氏
(有)ラプト取締役の小賀聡氏
(有)ラプト取締役の小賀聡氏
Netbootシステム
Netbootシステム

深川市の中学校5校には、今年度からMacintoshが150台導入された。内訳はiMac G5 17インチを各校に生徒用として最大50台、教師用として20インチを1台。職員室にiBook G4 14インチを4台、NetBootサーバーとしてPowerMac G5を2台。同市にはマルチメディアセンターが図書館に併設されており、ここで教室の環境をすべて管理している。学校での運営をサポートしている(有)ラプト取締役の小賀聡氏は「各学校からマルチメディアセンターまでは光ファイバーで結ばれている。残念ながら1校だけは光ファイバーがひけなかったため、18GHz帯の無線LANの実証実験に参加する形で使っている」と説明する。「先生のところにはNetBootサーバーがあり、このサーバーをマルチメディアセンターで管理している。極端な話、授業が終わって生徒が電源を落とし忘れたとしても、センターでシャットダウンすることができる」。

教室のiMac G5とNetbootサーバー
教室のiMac G5とNetbootサーバー
教師用にはiMac G5(20インチ)。生徒用にはiMac G5(17インチ)を用意
教師用にはiMac G5(20インチ)。生徒用にはiMac G5(17インチ)を用意。教師用のマシンにはiSight が装着されている

しかし、Macintosh導入がすぐに理解されたわけではなかった。「ランニングコストの問題からNetBootはいいとすぐに理解されたが、え〜っMacなの?という声が上がった」(小杉氏)。これまでWindowsを使っていたため、「OSが変わると最初から勉強しなおさなければいけない」「家庭はほとんどWindows。家庭と学校との違いの問題がでる」「教育用ソフトなどのこれまでの資産が使えない」「技術家庭の教科書はWindows。生徒用のマニュアルが必要になる」「Macはトラブルが多いと聞いている」などの反応があがった。これに対しては、Windowsで新しいアプリケーションを学ぶのと変わりがないこと、ITヘルプデスクでサポートを行い、マニュアルづくりもサポートするなどして説得にあたった。また、一番説得力があったのは東京大学など、子供たちが進学する教育機関がMacintoshを導入している例だったという。

次のページでは前述の小杉邦久氏と小賀聡氏にインタビューする機会を得たので紹介したい。



[編集部] 今回、学校のコンピューターをMacintoshにすることになったきっかけは?

[小杉] ネットにからんで子供たちがいろいろな事件にまきこまれている現状です。学校のなかでどのように指導していったらいいのかという教育委員会側の不安もあったと思いますし、われわれも地域の情報化を進めるなかと悩んでいたところで問題意識が共通しました。今回、たまたま中学校のコンピューターが更新するというタイミングを受けて、この時期を逃したら何もできなくなるんじゃないかと思ったものですから、新しい環境づくりを(教育委員会と)一緒に考えたということです。

[編集部] 中学校の機器の更新は何年ごとなんでしょうか?

[小杉] 4年に1回くらいのサイクルですね

[編集部] 都心ではなく北海道の深川市のような地域がはじめられたとういうのは何故なんですか?

[小杉] たまたま市長がITにものすごく興味があって、とにかく推進しろと。田舎だからITの有効性が発揮できるのではないかという考え方かがあったんです。それがテコになりました。

[編集部] 深川市と(有)ラプトとのかかわりは?

[小賀] 実は私が広報誌の編集担当になった時に、デジタル編集をやりたいと市長お願いして許可をもらいまして機器を揃えたときに、サポートに小賀さん来ていただいて、それからのつきあいですね。私どもの市は田舎なので、地元にIT企業がないんですよ。ですから、小賀さんになんとか地域活動に参加してもらおうと思いまして、ひっぱりだしてですね……(笑)。今では地元に営業所を出していただいています。

[編集部] ラプトの主な業務というのは

[小杉] 本社は札幌にあり、マルチメディアコンテンツ制作をやっております。コンテンツを作るだけでなく、それを観るためのシステムを構築したり、最近は学校へのNetBootも含めたネットワーク構築を全部やるという感じです。3名が深川市のヘルプデスクにはりついています。3名とも深川市の住民の方です。

[編集部] 自治体というと予算との関係で厳しいものがあるのではないかと思うのですが、それについては?

[小杉] 教育委員会とコンピューターの更新の話をした時には、すでに予算が組まれてました。その予算はウィンドウズの環境で設計された予算でした。その予算の範囲内で何ができるのかという話をしていくなかで、NetBootという方法もあり、費用的には収まるかもしれないということを聞きました。そこからいっきに話をつめていって、結果的には当初の予算の範囲内に収めることができました。NetBoot環境ももちろんですし、当初の計画になかった職員室のLAN環境整備もできました。教育委員会にとっては予算の範囲内で思った以上のことができたので喜んでますね。

[編集部] コスト削減というよりも範囲内以上のことができたと?

[小杉] そうですね。また、これまで教育委員会はスポットで機器の修理を依頼していました。それがわれわれの常駐体制のなかに組み込むことができましたので、トータルで考えればコストメリットがぐっと上がったということができます。

[編集部] NetBootのポイントは?

[小賀] 極端な話、最近シンクライアントシステムということで一般企業でもかなり注目されていて、今後出回るパソコンの15%くらいはHDDをもたない形になるのではないかといわれています。それと同じ形なんです。生徒は使うパソコンにHDDがなくても、ネットワーク上のサーバーからOSを起動して動かすことができます。アプリケーションも使いたいボタンをクリックするとサーバーからひぱってきて動かすことができる、そういうものなんですね。ですから管理する側としてはサーバーをちゃんと管理しておけば、そこにぶらさがっているクライアントに不具合が生じても、別の機器をもってきてつなぐだけ。

[編集部] 実際の利用シーンとしては?

[小賀] 学校に誰もいなくなった時にリモートでシャットダウンしたり、アプリケーションの更新も、マルチメディアセンターから一括してできます。

[編集部] 今後の課題は何ですか?

[小賀] 先生たちに求められていることは道具を使うことではなく、いい授業をすることなんですよ。いい授業をするためにパソコンを利用していただきたいという思いがあります。そのなかで、切れ味がいい道具は何なのかという、その選択すら今までされていなかったわけですから……。具体的に言うと WindowsとMacintoshというOSが存在しても、それを比べることすらしなかた。教師のなかには比較している人もいましたが、教育委員会は残念ながらしていなかった。そのなかで、今回たまたま切れ味のいい道具を入れることができたわけです。今度はどんな料理をしていくかが課題になっていきます。

[小杉] 今回は中学校を対象にしましたが、小学校を対象にした動きもでてくると思います。その時に小学校もMacintoshにするのか? という話がでてくると思います。Macintoshにして管理が容易になり、行政としてはそうあってほしいと思いますが、一方でMacintoshだけということは、Windowsだけと変わらなくなってしまう。ここらへんをどのように考えればいいのか、他の動きもみながら勉強していきたいと思います。



(編集部)




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