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【INTERVIEW】とまらない快進撃は2006年も続くか?──米アップルコンピュータシニアバイスプレジデントのフィリップ・シラー氏に聞く

Printable Version 2005年11月16日

フィリップ・シラー氏
米アップルコンピュータ社のフィル・シラー氏。写真は8月の来日時のもの

アップルコンピュータ(株)は16日、iPodシリーズの国内シェアが約6割に拡大したと発表した。

パソコン専門店や家電量販店(全国18社)のPOSデータを元にデジタル関連機器の売れ行きを週単位で調査している(株)BCNの発表に基づいたもの。直販サイトなどの結果は含まれていない。

アップルのiPodシリーズのシェアは11月第2週の調査で、販売台数ベースが59.8%、金額ベースで71.6%に到達したという。アップルは、8月に日本版“iTunes Music Store”を開始したほか、9月の『iPod nano』、10月のビデオ対応『iPod 30GB/60GB』など、矢継ぎ早に新サービス/製品を投入しており、それが市場で支持された。

一方、市場で第2位のポジションを占めるソニー(株)は、4月中旬にフラッシュメモリータイプで2割強のシェアを取ってトップに立ち、長時間駆動を武器にHDDタイプでも追撃する姿勢を強めていたが、夏以降目立った新製品がなかった。BCNの発表では、ソニーのシェアは8月時点でアップルの39.4%に対して16.5%あったが、現在では9.7%と1桁台に落ちている。ソニーは19日に、ウォークマンシリーズの新機軸“ウォークマンAシリーズ”を市場投入する予定で、好調なアップルに対してどの程度市場の存在感を示せるかどうかが、注目される。

編集部では、来日した米アップルコンピュータ社ワールドワイドプロダクトマーケティング担当シニアバイスプレジデントのフィリップ・シラー(Philip Shiller)氏に、東京・銀座の直営店“Apple Store,Ginza”でインタビューする機会を得た。





2005年最も印象に残ったニュースは『iPod nano』

iPod nano
iPod nano

[編集部] iTunes Music Storeの国内サービスが始まった8月にもインタビューさせていただきましたが、その間にさまざまな“ビッグ・サプライズ”がありましたね。今のアップルは非常に元気があると感じています。

[シラー] (自信の笑みで)ありがとうございます。

[編集部] まだ1ヵ月以上残っていますが、2005年はアップルにとって非常に実りのある1年だったと言えるのではないでしょうか。数多くの発表がありましたが、その中で最も印象に残っているニュースは何でしょうか。

[シラー] たくさんありすぎて難しいですが、私は今年1年で最も大きなニュースは『iPod nano』のローンチだったと思います。なぜならそれはアップルにとって大きな決断だったからです。iPod nanoはまったく新しい製品として、iPod miniをリプレースする形で市場投入されました。iPod miniは非常に大きな成功を収めたプレーヤーだっただけに、リスキーでアグレッシブな決断でしたが、この決断ができたことには誇りを持っています。市場のイノベーターであり、リーダーであり続けるためには必要なことだったのです。

[編集部] なるほど。

[シラー] iPod nanoは、顧客や業界全体にとっても予想外のプロダクトだったのではないでしょうか。非常に薄く、コンパクトで、軽く、美しい。新しいブレークスルーにつながる“驚き”を提供できたと思います。

[編集部] 国内では夏以降、iPodのシェアが急速に高まり、2位のソニーとの差が大きくなりました。要因としてはiTunes Music Storeの開始と、iPod nanoのような魅力ある製品群をタイムリーにリリースできたという両面があると思いますが。

[シラー] ソニーはデジタルオーディオプレーヤーの分野では手ごわい競合だと考えていますが、アップルはそれを上回る速度で開発を進めることができました。ベストなハードウェア、ベストなソフトウェア、ベストなストアーを統合したプレーヤーを開発できたことが、よい結果につながったと考えています。





iPodの勢いをMacintoshにも

iMac G5
iMac G5。赤外線リモコンのApple Remoteと離れた場所からの操作に対応したGUI“Front Row”が特徴

“iPod”が好調なアップルの象徴となっているのは事実だが、同時にその勢いをもうひとつの主力事業であるMacintoshにも取り込みたいというのも本音だろう。

2005年には最新OSの『Mac OS X v10.4“Tiger”』のリリースや、秘密裏に開発していたインテル版Macintoshの公開など、Macintoshの分野でも大きな動きがあった。同時に、iPod効果が波及する形で、Macintoshの売り上げも伸びているという。アップルは10月に、2005年第4四半期(7〜9月期)の決算を発表し、設立来最高の四半期/通年決算を達成したとアナウンスしたが、その際にはMacintoshの出荷台数も前年同期比で48%増加したことが発表されている。シラー氏は“Halo Effect”(光背効果(※1))という心理学用語を使いながら、iPodがMacintoshの売り上げに与える好影響について説明した。

※1 人物や事物のある側面を好ましい(好ましくない)と思うと、その人や事物のほかのすべての側面に対して実際以上の高評価(低評価)を下してしまうという心理のこと。iPodのブランドイメージが、アップル全体のイメージを良くしているという意味。

[シラー] iPodを気に入ったから、次に買うマシンはMacintoshにしたいと考える人は増えています。

一方で、オンラインストアーで販売されているコンテンツをMacintoshとiPodの両方でより効果的に楽しめる仕組みづくりも提供されている。アップルは、動画再生に対応した第5世代の『iPod』を10月にリリースし、同時にiTunes Music Storeでの動画配信サービスを開始した。また、付属の赤外線リモコン“Apple Remote”と、リモコンでデジタルコンテンツを操作するためのGUI“Front Row”を装備した『iMac G5』もリリースしている。

リビングへのパソコンの進出という観点では、すでにマイクロソフトの『Windows XP Media Center Edition』を搭載したマシンが市場に出回っている。離れた位置からパソコンを使用することを想定した“10フィートGUI”と呼ばれる操作体系も持っている。

しかし、デジタルコンテンツの受容形態に関して、アップルとマイクロソフトのアプローチは大きく異なるという。

シラー氏はテレビやAV機器をパソコンで置き換えるという発想が“複雑さ”の原因となっているとした。一方で、アップルはパソコン上で誰もが行なっている映像視聴やダウンロードといった操作をより快適に行なうことに主眼を置いた製品開発を行なっており、家電機器をパソコンで置き換えるのではなく、現在のパソコンの延長線上で高いユーザビリティーを実現できるようにすることを重視しているという。

iPodとMacintoshをつなぐために、今後どんな取り組みがなされるかどうかは「競合との絡みで、コメントできない」としたが、同時に「これまでにない新しい試みに対する取り組みが今まさに始まったばかりである」とも述べた。動画対応のiPod、ビデオ配信のためのコンテンツプロバイダーとの間の新しいビジネスモデルの構築、iMac G5を利用したデジタルコンテンツの利用形態などはその第1歩に過ぎないという。





2006年にもビッグ・サプライズはある

編集部では、2006年に登場するインテルベースのMacintoshに関してシラー氏に質問した。最後にこの点に触れておく。

[編集部] 2006年以降は、インテルベースのMacintoshに移行していくことになりますが、これもWindowsからの移行に対して好材料となりますか?

[シラー] 将来的なMacintoshがインテルプラットフォームに移行することは6月に発表しましたが、インテルベースにすることで新しいデザインや新しいフィーチャーを備えたMacintoshを容易に開発できるようになります。期待していることのひとつは、Macintoshがよりよいものとなることで、より多くの人々をひきつけられるのではないかということです。また、(Windowsユーザーにとって)なじみのあるチップが採用されたことでリーチが高まることも期待しています。そして、最も重要なのは、良いマシンを作るためにインテルのチップを採用することが必要だったということです。

[編集部] インテルベースのMacintoshは、デスクトップとノートどちらが先にリリースされるのでしょうか?

[シラー] 計画の詳細に関しては残念ながらお答えできません。ここでお話できるのは来年の半ばにインテルベースのMacintoshが製品化されるということだけです。

[編集部] そうですか。来年もビッグ・サプライズがあることを期待していいですか?

[シラー] ええ、たくさんのビッグ・サプライズを用意していますよ。



(編集部 小林久)





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