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【発表会詳報】アップルコンピュータ、米国開催のプレスイベントで動画配信対応『iPod』と『iMac G5』の新モデルを発表

Printable Version 2005年10月13日

米アップルコンピュータ社は12日(現地時間)、米国でプレスイベントを開催し、動画再生に対応した『iPod』と赤外線リモコンとネットワークカメラを搭載した『iMac G5』の新モデルを発表した。

ジョブズ氏
スティーブ・ジョブズ氏

製品の概要は速報記事で紹介しているが、ここではプレスイベントで同社CEOスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が行なったプレゼンテーションの内容に関して紹介する。なお、今回の記事は、日本法人のアップルコンピュータ(株)が本日都内で開催したビデオ上映会に基づいている。

One more thing……

今回のイベントに先立ってアップルから報道関係者に送られた電子メールには、赤い垂れ幕の前に一言“One more thing……”というメッセージが記されていた。このOne more thingという言葉は、プレス関係者にはジョブズ氏がプレゼンテーションでしばしば口にする言葉としておなじみのものである。さまざまな数字を使ってアップルの現状を説明したあと、ジョブズ氏がこの言葉を発したら、それは”驚くような発表”が行なわれるサインだ。

招待状
赤い垂れ幕の前にひとこと“One more thing……”と書かれた招待状

プレスイベントに登場したジョブズ氏は、のっけから今回の発表会は“3部作である”と表明した(これはあとから登場する演出の前フリになっていたのだが、その内容は後述する)。

第1幕はiMac G5

iMac G5
iMac G5

第1幕(Act1)は“iMac G5”の新製品の紹介である。フルモデルチェンジを果たしたiMac G5は17インチモデルと20インチモデルの2製品がラインナップされている。ジョブズ氏はその特徴として“本体の薄さ”“ネットワークカメラ”(iSight Video Camera)の標準搭載、そしてリモコン機能の『Front Row』(フロント・ロー)を挙げた。

まず薄さに関しては、17インチモデルが173mm、20インチモデルが189mmとなっており、従来より薄型化が進んでいる。

ネットワークカメラ機能に関しては、液晶パネル上部のベゼル部分に小さな穴が開いており、ここがネットワークカメラになっている。イベントでは、ジョブズ氏がiChat AVを利用して、同社No.2のフィル・シラー(Philip Shiller)氏などとビデオチャットを行なうデモンストレーションのほか、『Photo Booth』(フォト・ブース)と呼ばれる新ソフトの紹介も行なわれた。



アンディ・ウォーフォル
ティーンエイジャー
スクイーズ
Photo Boothのエフェクト、左から順に“アンディ・ウォーフォル”“ティーンエイジャー”“スクイーズ”

Photo BoothはiSightで撮影した画像にさまざまなエフェクトを追加する機能。ジョブズ氏は“X-ray”“アンディー・ウォーフォル”“ティーンエイジャー”“スクイーズ”“光のトンネル”などのエフェクトを施した自身のポートレートを次々と撮影。魚眼レンズのように鼻の部分が大きく強調されたり(ティーンエイジャー)、逆に中央にキュッとしまった(スクイーズ)ジョブズ氏の顔がスクリーンに大写しにされると、会場は大爆笑となった。ジョブズ氏いわく「これは生産性がムダになる(笑)」。

リモコン
iMac G5に付属するリモコン
トップ画面、アイコンでコンテンツの種類を選ぶ
階層メニューはiPodそっくり。9m離れた場所からの操作も可能だという
Front Rowの画面、トップ画面、アイコンでコンテンツの種類を選ぶ(左)。階層メニューはiPodそっくりで、9m離れた場所からの操作も可能だという(右)

iMac G5の目玉機能と言えるのが、『iPod shuffle』そっくりのリモコンとともに使用する『Front Row』と呼ばれるソフトだ。Front Rowは動画・音楽・静止画の再生に対応したプレーヤーソフトで、iPodライクな階層メニューをリモコンの十字キーたどっていくことで、簡単に音楽や動画、静止画の再生が行なえる。ジョブズ氏は米マイクロソフト社の『Windows XP Media Center Edition』搭載機に付属するリモコンと、iMac G5のリモコンを比較。「Media Center Editionのリモコンは40以上のボタンを持つ非常に複雑なものだが、iMacのリモコンはボタン数が6個と少なく非常にシンプルだ」と紹介した。

第2幕はiPod、第3幕はiTunes 6

第2幕(Act2)では、iPodの新モデルに関して説明された。ジョブズ氏は「iPodの累計出荷台数が3000万台に達したこと」「iPodのシェアが米国で75%に達している」など、iPodの現状を報告した。さらに約5週間前の9月8日(現地時間)に発表された『iPod nano』に関しては「発売後17日間で100万台の出荷を行なった」と発表。その好調ぶりをアピールした。

iPodのシェア
出荷台数
iPodのシェア(左)と出荷台数(右)

そして、ジョブズ氏は「非常に売れた“ホワイト”iPodだが、そろそろ取りかえの時期にきている」と述べ、動画配信に対応した30GBと60GBの新しいiPodを紹介した。ジョブズ氏が動画再生について言及すると会場からは喝采が起こった。すでに別記事で紹介しているように新iPodは解像度320×240ドット/26万色表示のカラーディスプレーを搭載し、H.264またはMPEG-4形式の動画コンテンツの再生が可能。本体も薄型化した。“Video Podcast”(動画対応のPodcast)やiTunes Music Storeで販売される“Music Video”を再生できる。

iPod
動画対応のiPod、nano同様ピアノブラックも用意される

ジョブズ氏は、人気ロックバンドU2が登場する新iPodのコマーシャルや、新しいiPodのシルエット広告についても紹介した。

U2が出演するCM
U2が出演するCM。キーワードは“Watch the music”
新シルエット広告
新シルエット広告、影と人物がラップで応酬する

第3幕(Act3)では、iTunesの新バージョン『iTunes 6』について説明された。ジョブズ氏は「iTunes Music Storeではすでに2億曲のダウンロードが行なわれている」こと、「同ストアが米国で84%のシェアを取っている点」などを紹介した。また、iTunes 6はiTunes 5の登場後5週間という短期間でリリースされた。ジョブズ氏はこのことに対して“busy”という言葉を連呼していた。

iTunes 6の新機能に関しては、楽曲やプレイリストを知人や家族にプレゼントできる“ギフト”、楽曲の評価(平均点など)が参照できる“カスタマーレビュー”、過去の購入履歴などからユーザーにオススメの楽曲を提案するβ機能の“Just for you”、そして本日から行なわれる“ビデオ配信”などが挙げられる。

FairPlay
著作権保護のFairPlayルールは映像でも同様に採用される
マドンナ
配信されるMusic Videoのひとつマドンナの『Vogue』

ビデオ配信では、U2、マドンナ、ビースティー・ボーイズ、カニエ・ウエストといった人気アーチストの“Music Video”が購入できるほか、米ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)社が提供する6本の短編映画『Boundin』『For the Birds』『Geri's Game』『Luxo Jr』『Red's Dream』『Tin Toy』のダウンロードも可能となっている。1.99ドル(約230円)の統一価格を採用している点や、FairPlayルールによる著作権保護といった基本コンセプトは従来のiTunes Music Storeと同じで、所有感の高さを感じさせるサービスになっている。また、Music Videoは国内のiTunes Music Storeでも1コンテンツあたり300円でダウンロード可能となっている。

第3幕が閉じてもまだまだ続く、ジョブズ・オン・ステージ

こうして、冒頭で予告された3幕が閉じた。しかし、そこで終わらないのがジョブズ氏のプレゼンである。ここで彼が口にしたのが「One more thing」という言葉だ。

ジョブズ氏が発表の目玉としたのは、iTunes Music Storeで展開される“TV Shows”のサービスである。これは、テレビの人気番組をダウンロードできるサービスだ。ディズニーとの協力によって実現したもので、米国で高い人気を誇る『Desperate Housewives』(デスパレートな妻たち)、『Lost』といったドラマに加え、新ドラマシリーズの『Night Stalker』、ディズニーチャンネルで人気の高い『That's so Raven』『The Suite Life of Zack & Cody』の各エピソードが放送の翌日からオンラインで入手できるようになる。

コンテンツにはCMはなく、視聴するごとに課金される“Pay Per View”の形態でもない。米国のゴールデンタイムの番組がネットで見られるのは例のないことだという。「ダウンロードする容量は1時間のコンテンツの場合、アルバム5枚程度。回線速度によって異なるが10〜20分もあればダウンロードできるだろう」とジョブズ氏は述べた。1話あたりの価格は1.99ドルと同様で、すべてのコンテンツは無料でプレビューができる。

ディズニーCEO登場
米ウォルト・ディズニー社のCEOロバート・アイガー氏

ここで、壇上には米ウォルト・ディズニー社のCEOロバート・アイガー(Robert Iger)氏が登場。今回の協業が「偉大なるコンテンツとテクノロジーの融合」である点が意義深いとし、「ネット配信はコンテンツプロバイダーにとって大きなチャンスになる」と述べた。同氏はディズニーの戦略として「コンテンツ制作」「制作・配信両面でのテクノロジーの活用」などを掲げ、コンテンツをより多くの人に届けられる素晴らしい場が提供されたと締めくくった。

お決まりのせりふが登場したところで、ジョブズ氏の「フィナーレ!」(Finale)というかけ声。iMac G5から動画配信にいたる今回の一連の発表内容をおさらいした。ジョブズ氏は「10月11日まではiPodでできたのは、楽曲を購入し、聴いて、持ち運ぶだけだった。それが一晩にして購入し、視聴して、持ち運ぶことができるようになった」と述べ、オズの魔法使いの有名なせりふ「Toto, I've got a feeling we're not in Kansas anymore」(トト、ここはカンザスじゃないみたいよ)を引用してその心境を表現した。



Watch
聴くだけではなく、鑑賞できるiPodに
ウィントン・マルサリス
今回のショートコンサートはウィントン・マルサリスのジャズトランペット演奏

そして、発表会も終了と会場の誰もが思い始めたとき、ジョブズ氏は「アンコール!」(Encole)と叫び、ジャズトランペッターのウィントン・マルサリス(Winton Marsalis)氏を紹介した。プレスイベント恒例のミニコンサートが行なわれたあと、ジョブズ氏は満面の笑みを浮かべながら再登場。こうしてプレスイベントが締めくくられた。

(編集部 小林久)





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