【Macworld Expo 2005 Vol.2】新OS“Tiger”の新機能や、マルチメディアスイートなど盛り沢山の内容――Macworld Expo基調講演 ソフトウェア編
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2005年1月14日
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基調講演はMac OS Xの次バージョン“Tiger”で始まった。2005年前半の出荷を予定している |
MacintoshやiPod及び関連商品の展示会“Macworld Conference&Expo/San Francisco 2005(Macworld 2005)”の基調講演では、米アップルコンピュータ社CEOのスティーブ・ジョブズ(Steave Jobs)氏により、同社の新しいソフトウェアについての、非常に力の入ったプレゼンテーションが行なわれた。Mac本体の新製品発表が、エントリーモデルの『Mac mini』のみだったのに比べると、ソフトウェア側は新OSの機能紹介や、新しいアプリケーションスイートの発表など盛り沢山。「本体の魅力でMacを牽引してきた既存の戦略から、アプリケーションへの転換が図られているのではないか」という識者の声も聞かれる。それでは基調講演で発表されたソフトウェアについて紹介したい。
新Mac OS X“Tiger”の検索機能“Spotlight”を大々的に紹介
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新Mac OS X“Tiger”のデスクトップイメージ(2004年6月に公開されたもの)。右上の縦長のリストが、デスクトップ検索機能“Spotlight”の検索結果 |
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Spotlightで検索できるデータタイプ。文書や電子メールといったテキストベースのものだけでなく、画像やオーディオデータに含まれるメタデータも検索できる |
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ジョブス氏による講演は、次世代のMac OS X v10.4、コード名“Tiger”の新機能についての紹介から始まった。今年前半にリリース予定のTigerには、200に及ぶ新機能が搭載されるというが、ジョブズ氏がコアフィーチャーとしてまず紹介したのが、“Spotlight”と呼ばれるパソコン内検索機能(デスクトップ検索機能)である。同種の機能は検索サイト大手の米グーグル(Google)社が提供する、アプリケーションタイプの“Google Desktop Serach”があるし、米マイクロソフト社の次世代Windows“Longhorn”にも搭載される予定である。しかしOSに統合された形で実装され、対応アプリケーションから自由に使えるようになるのは、Spotlightが初となるだろう。
Spotlightの大きな特徴は、ファイル名や文書ファイル内の文字列だけでなく、ファイル内のメタデータも検索対象としている点だ。メタデータとは、ある情報が何の情報であるのか、その意味を記述したデータのこと。たとえばMP3ファイルにおけるID3タグは、メタデータの見本だ。MP3ファイルのオーディオデータ本体は純粋な音声のデータだけで、誰が歌っているのか、何というCDに収録されていたのかは書かれていない。しかしID3タグと呼ばれる付属情報に歌手やアルバム名、リリース年といった情報をID3タグの書式に従って書き加えることで、MP3プレーヤーはどのデータが歌手名で、どれがアルバム名かを理解して、それを元に表示や検索を行える。SpotlightではMicrosoft Word文書やExcelデータファイル、画像(JPEG、GIF、TIFF、PNG、EXIFとIPTCタグ)やオーディオ(MP3、AAC、MOV)のメタデータを検索対象とすることで、たとえば“Succer”というキーワードで検索をかけると、メタデータ内に“Succer”と記述された画像ファイルを見つけ出せすことが可能になる。
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Spotlightで“Succer”のキーワードを検索してみるデモ。キーワードが書かれた文書やメールのほか、メタデータにキーワードが書かれた画像も見つけている |
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検索したデータを種類別に一覧した状態。ここから文書や画像を開いたり、メールを開いて返信するといったことも可能になる |
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SpotlightではMac OS Xのシステム環境設定に対しても機能する。たとえばキーワードを“画面設定”として検索すると、画面設定に関するアイコンがハイライトして表示されるといった仕組みだ |
もちろんTigerで画像やオーディオデータを検索するためには、データそれぞれにふさわしいメタデータが付いている必要がある。しかしファイル名を調べるか、画像を表示して見て探すしかない現状を思えば、この種の機能がOS標準でサポートされることでアプリケーションやデータ側のメタデータ対応も進むと期待され、パソコンの使い勝手を大きく向上させるだろう。以前からデスクトップ上での検索機能の強化を進めていたアップルらしい機能と言える。
もう1つのTigerの興味深い機能が“Dashboard”と呼ばれる新しいデスクトップ環境だ。Dashboardは“Widget(ウィジェット)”と呼ばれるミニアプリケーションを動作させる新しいデスクトップ環境である。WidgetはJava Scriptで記述される単機能のアプリケーションで、標準のMac OS Xのデスクトップ上に半透明でDashboardのレイヤーが表示されて、その上で電卓やカレンダー、株価表示や天気予報、iTunesの再生パネルといったWidgetが動作する。Dashboardはファンクションキー1つでオンオフできるので、標準のデスクトップを邪魔せずにWidgetを使えるというわけだ。WidgetはTigerで実装される新しいグラフィックス機能“Core Image”を利用して描画されており、アニメーショングラフィックを多用するものもあって、見た目に美しい。
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Dashboardのデモ。Widgetが並ぶ下に、半透明で標準のデスクトップが見える。下側はWidgetのランチャーか |
その他にも、『QuickTime 7』がフルHD解像度(1920×1080ドット)のビデオ表示に対応したほか、QuickTime 7とビデオチャットアプリケーション『iChat AV』が、H.264形式の高品質ビデオフォーマットをサポートするといった発表も行なわれた。iChat AVでは4人でのビデオチャットの様子がデモされ、人数が増えるたびにビデオ画面がスムーズに拡大縮小するなど、既存のビデオチャットアプリケーションとは違う、新しい世代のアプリケーションであることを感じさせた。
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iChat AVのデモでは、ジョブス氏(画面下側)を含めた4人での会話がデモされた。画質は非常に良好だ |
HD品質のビデオサポートについては、すでに同社のビデオ編集アプリケーション『Final Cut Pro HD』でHD品質のビデオ編集に対応しているが、それに加えて低価格なビデオ編集アプリケーション“Final Cut Express”にも、HD品質に対応した『Final Cut Express HD』が発表された。同社がHD品質ビデオの対応に非常に力を入れていることがうかがえた。Final Cut Express HDの価格は3万1290円で、Final Cut Expressのユーザーは1万395円でアップグレード可能。発売は2月の予定。
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Final Cut Express HD |
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マルチメディアアプリケーション集『iLife'05』は、米国では22日より79ドル(日本では8190円)で販売開始すると発表された |
アプリケーション分野での発表で注目されたのは、マルチメディアアプリケーションスイート(ソフト集)『iLife'05』と、ビジネス系のアプリケーションスイート『iWork'05』の2タイトルである。iLife'05は5つのアプリケーションで構成され、iTunes以外の4アプリケーションがiLife'05でアップデートされた。なお今後登場する新しいMacには、iLife'05がプレインストールされる。
iPhoto 5
デジタルカメラ画像編集ソフト
iMovie HD
ビデオ編集ソフト
iDVD 5
DVDオーサリングソフト
Grageband 2
マルチトラック対応音楽録音・編集ソフト
iTunes 4.7.1
デジタルジュークボックスソフトの最新版
iPhotoはプロユースで多用される非圧縮画像フォーマット“RAW”をサポートしたほか、画質調整など編集機能が大きく強化されており、基本機能の強化が目立つ。また取り込んだ写真をテンプレートを元に美しくデザインして、実際の写真集を製本してもらうサービスも発表された。写真集は名刺サイズのミニブックからハードカバーのフォトブックなど4種類のサイズが用意され、価格は1冊525円(3冊単位から受注)より。
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大きく機能強化された『iPhoto 5』 |
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全画面表示での編集の様子。画質調整用ウィンドウが右側に表示されている。ヒストグラムを表示しての編集にも対応 |
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フォトブック編集の様子。テンプレートから好みのスタイルを選んで、任意の画像を写真枠に貼り付ければできあがり |
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実際のフォトブックの見本。手の平サイズもある |
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デジタルビデオ編集ソフトの『iMovie HD』は、その名で分かるようにHD品質(720p/1080i)のビデオ編集に対応した。そしてソニー(株)のデジタルHDビデオカメラレコーダー『HDR-FX1』からの、HD品質ビデオの取り込みにも対応している。iMovie HDの解説では、サプライズゲストとしてソニー 代表執行役社長の安藤国威氏が登場し、アップルとソニーの協力により、HDビデオ編集を家庭にも広げていくことを表明した。
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iMovie HDのイメージ写真。民生用としては唯一のHDビデオカムコーダー『HDR-FX1』に対応し、最大解像度1080iのビデオを編集可能 |
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実際に1080iのビデオを編集している様子 |
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ゲストとしてソニー社長の安藤氏が登場すると、会場にはざわめきが起こった。デジタル音楽分野ではアップルに先行されて苦しいソニーだが、HDビデオ分野では協力関係をアピールできるとあってか、安藤氏は上機嫌の様子でスピーチを行った |
『iDVD 5』は非常に見栄えの美しい15のテーマがメニューのテンプレートとして用意され、写真や動画を使った動くメニューを作成できるようになった。また『Grageband 2』では最大8トラックのマルチトラックレコーディングに対応し、楽譜表示での音楽編集も可能になっている。
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iDVD 5ではビジュアル的に非常に凝ったメニューを作成できる。DVD作成を楽しむ人には魅力的なソフトだ |
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Garage Band 2のデモではギタリストのJohn Mayer(ジョン・メイヤー)が登場し、ジョブズ氏とのセッションでマルチトラックレコーディングを実演した |
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iLife'05は日本では29日より発売される。価格は8190円。またiLife'05がプレインストールされていないMacのユーザーは、『iLife Up-To-Dateパッケージ』を購入できる。価格は2625円。対応OSはiPhotoがMac OS X v10.3.4以降(一部機能が要求するため、推奨はMac OS X v10.3.6以降)である。
PowerPointに強力なライバル登場!? 『iWork'05』
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噂どおりに発表された『iWork'05』。米国での発売は22日で、価格は79ドルとかなり安い |
Macworld開催前から噂となっていたのが、アップルが新しいビジネスアプリケーションスイート“iWork”を発表するという話だった。やはり噂は本当で、基調講演ではiLife'05に続いて『iWork'05』として発表され、会場を沸かせた。iWork'05は文書作成ソフトとプレゼンテーション作成ソフトの2本で構成されており、表計算ソフトや図面作成ソフト、データベースソフトは含まれていない。その意味ではやや寂しい構成という印象は否めない。
プレゼンテーション作成ソフト“Keynote”シリーズの新作『Keynote 2』では、画像やアニメーションを多用した、見た目に美しいプレゼンテーションを作成できることを売りとしている。20種類もの美しいテンプレートが用意されていて、「映画のような美しいプレゼンテーション」(広報発表文より)を作成できるという。実際にデモで実演されたプレゼンテーションデータは、PowerPointで作成されたものを見慣れた目には、驚くほどカラフルで見栄えのよいものに見えた。PowerPoint形式の読み書き、PDF/Flash/QuickTimeムービー形式での書き出しも可能となっている。
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プレゼンテーション作成ソフトの新版『Keynote 2』 |
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Keynote 2で作成したプレゼンテーションのデモ。地図上を線が動き、地名と写真が次々と表示されていった |
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新規に登場した文書作成ソフト『Pages』も、“美しい文書を仕上げる”ことを重視したソフトである。単なるワープロソフトというよりも、プロユースの印刷レイアウトソフトのような自由度の高い編集が可能で、写真や本文、表や書体の異なる脚注を自在に配置した文章を作れる。デモでは画像に合わせた文書の回り込みを、自動でかつ軽快に処理して見せた。テンプレートデータが多数用意されているのはKeynote 2同様で、見栄えの良いチラシやパンフレットの作成に威力を発揮しそうだ。
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新しく登場した文書作成ソフト『Pages』。テンプレートを元に美しい文書を制作できる |
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Pagesのデモの様子。画像を自在に配置して文書を自動で回り込ませたり、キャプションや表を簡単に配置できる |
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iWork'05はMac OS X v10.3.6以降に対応し、価格は8190円。発売は2月の予定。
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