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【まとめてチェック!!】iTunes Music Storeは日本の音楽業界を変えるか?
音楽配信の現在を総復習
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2005年9月1日
米アップルコンピュータ社の音楽配信サービス“iTunes Music Store”(iTMS)の登場から約3週間。開始後わずか4日で100万ダウンロードを実現するなど、好調な滑り出しだ。国内の音楽配信サービスは約5年の歴史を持ち、最近では“着うたフル”のような携帯電話向けサービスも人気を博しているが、これまで価格の高さやサービスの使いにくさなども指摘されてきた。全世界で毎日100万曲のダウンロードが行なわれていると言われるiTMSの登場で音楽配信はどう変わるのか? ここでは、そんな音楽配信に関する特集をお届けしたい。
すでに読者の6割強がiTMSを体験、 1曲100円程度の値下げを望む声が目立つ
さて、話題のiTMSは実際にどのぐらい使われているのだろうか? アンケートではまず最初に日本版のiTMSを使ったことがあるかどうかについて尋ねてみた。この質問に対しては41.5%がすでに1曲以上のダウンロードを行なっていると回答。購入はしていないが、iTMSへの接続は行なったと答えた人は19.8%だった。合計すると60%以上の読者が何らかの形でiTMSに触れたことになる。
実際にiTMSを利用したことのある読者の満足度に関しては「非常に満足」(8.6%)と「おおむね満足」(36.8%)。「やや不満」(11.9%)と「不満」(5.5%)と答えた人数を上回った。後述する自由回答でも音楽配信に対するさまざまな“意見”が寄せられていたが、完全ではないもののサービス開始時点としては比較的満足度の高いサービスになったようだ。
なお、過去にiTMS以外の配信サービスを利用した経験のある読者は「パソコン向け」が20.6%、「携帯電話向け」が12.5%、「P2P等で入手したことがある」が7.9%という数字。購入には至らなかったが「音楽の検索を行なったことがある」が19.6%。「利用したことがない」が52.3%だった。
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ずばり、今日までに日本語版iTunes Music Storeを利用されましたか? |
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iTMSの全体的な満足度はいかがですか? |
ユーザーの購入曲数はアルバム1枚程度(10曲程度)がもっとも多かったが、中には100曲以上と答えた読者も散見された。
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購入した曲数をお教えください |
iTMSでは1曲あたりの単価は150円が中心(一部200円)。ただし、人気アーチストの最新の曲は200円のものが多い。米国版のiTMSが0.99ドルでの販売を行なっていることを考えると若干割高だが、iTMS登場以前の国内の状況をかんがみるとかなりリーズナブルな価格設定となっている。読者はどう考えているのだろうか。
回答でもっとも多かったのが「高いが買える(買ってもいい)価格ではある」というもので40.9%。これに「妥当な値段だと思う」が続き35.7%。ただし、「高すぎて買う気がしない」と答えた人も7.7%いた。
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1曲の価格が150円(一部200円)という価格は高いと思いますか? 安いと思いますか? |
読者の意見を眺めると「200円は高いので150円に統一する」「1曲100円程度まで下がれば利用しようという気になるが、制限事項(コピー等)が多い割にはまだ少し高い気がする」「アルバムとして配信した曲は500円ぐらいにしてほしい」といった意見があった。特に多かったのが価格を「1曲あたり100円以下にしてほしい」というもので、100円を基準に考えると150円という価格は許容できるが、200円では高すぎるというのが全体的な感覚のようだ。「妥当な金額」と答えた読者でも、著作権保護の縛りがあり、音質面でCDに劣る圧縮音源を使用し、リーフレットや歌詞カード(ライナーノーツ)なども付属しない点を考えると100円以上の金額ではまだ割高感があるというのが共通した意見のようだ。
ちなみに過去にiTMS以外の音楽配信サービスを利用したことのある読者に対して、同様の質問をしたところ「高すぎて買う気がしない」が23.5%、「高いが買える(買ってもいい)価格ではある」が22.9%、「妥当な値段である」が11.9%という結果だった。
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1曲の価格が150円(一部200円)という価格は高いと思いますか? 安いと思いますか? |
ラインナップの満足度には個人差 ──大手レーベル参加を切望する声
国内15レーベルと提携して100万曲のラインナップを揃えたiTMSは国内の配信サービスとしては最大規模のラインナップを誇る。ちなみにこれまで最大だった(株)レーベルゲートの“Mora(モーラ)”は5月の時点で20万曲のラインナップという発表を行なっている。ただし“Sony Music”など参加していない大手レーベルが存在するほか、参加しているレーベルでもオリコンの上位に入るような新譜を提供していないケースが散見される。
ラインナップの満足度に関する読者の意見で、もっとも多かったのが「開始当初としては妥当な種類・曲数だと思う」の36.6%で、これに「少ないがほしい曲はある程度含まれている」が23.3%、「少なすぎてほしい曲が見当たらない」が18.3%だった。“開始した時点”という条件付きで満足する意見が多い。ただし、こういったサービスでは数の多さではなく、自分の欲しいものが置いてあるかどうかがカギなので満足度には個人差が出てしまうのはしょうがない部分だろう。
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国内レーベル15社、100万曲というラインナップについてどうお考えになりますか |
ダウンロードしたいと考えているカテゴリーに関しては「最新ヒットチャートに載るような“新曲”」が28.1%、「有名アーチストの“歴代のヒット曲”」が23.1%、「80年代、90年代(あるいはそれ以前の)“懐かしいヒット曲”」が27.6%といった声が多かったが、それ以外の選択肢に関しても15%前後と全体に意見が割れる結果となった。
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ダウンロードした曲、これからダウンロードしたい曲のカテゴリーは? |
自由回答ではほぼ大半が曲数が増えなければ始まらないという主旨の発言をしていた。これはiTMSだけではなく、すべての音楽配信サービスに関しての要望を聞いたものだが、料金面はともかく欲しい曲がなければ始まらないという至極あたりまえな意見が並んだ。
「名曲、ヒット曲といったメジャーな曲は、ジャンルをとわずにラインナップしてほしい。ニッチな曲はそれからでよい。」「全レーベル参加」「特に廃盤になってしまったものを入れてもらえると裾野も広がるのでは?」「発売日前の購入やCD未収録の曲の販売をしてほしい」「お金を出しても聞きたい楽曲が増えるのを願う」。
iPodのみでしか利用できないiTMS ──より高音質な音源を望む声を
iTMSで購入した音楽はパソコン上で聴いたり、CD-Rなどに焼いてコンポなどで楽しむこともできるが、やはり携帯型の音楽プレーヤーにコピーして外出先で楽しみたいと考えるユーザーが多いだろう。しかし、iTMSはアップルの販売戦略上、楽曲転送はiPodにしか行なえない。アンケートでは音楽配信を利用するに当たってポータブルプレーヤーを新たに購入するかどうかという質問に対して「特に購入する予定はない」と答えた人が36.6%。逆に「3ヵ月以内に購入する」「購入する見込みがある」と答えたのは合計20.4%だった。
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音楽配信サイトを利用するに当たって、ポータブルオーディオプレーヤーを新たに購入する予定はあるか? |
米国の携帯音楽プレーヤーの市場では74%(NPD調査)と圧倒的なシェアを誇るiPodだが、国内でのシェアは30%台と言われており、ソニー(株)や(株)東芝などの国内メーカー、アイリバー・ジャパン(株)など韓国系企業も善戦している(ちなみにiPodの韓国でのシェアは1.6%ほどでトップ10入りすらできていないという調査結果もある)。
現在使用している(あるいは購入を検討している)携帯プレーヤーのメーカーは、このアンケートに回答した読者に限って言うと「アップルコンピュータ」が59.8%と圧倒的で、これに「ソニー」の18.1%、「クリエイティブメディア」の10.2%が続く。iPodの支持率は確かに高いが、国内にはそれ以外にも魅力的な製品がある。
読者の意見としては「音楽データの規格を統一してほしい。 どこのメーカーのポータブルオーディオプレーヤーでも使える用にしてほしい」「ミュージックプレイヤーごとに聞ける曲に制限ができてしまうのはつらい」「一番再生範囲の広いMP3形式で配信してほしい」といった意見もいくつか見られた。ただし、配信サービスとしては「iTMS以外ははっきりいって利用するつもりはありません。みなが言っているとおりDRM、価格、スタンス、全てに“ユーザーのために”という概念が欠落してるようにしか見えないからです」という意見や「iTMSとiPodの連携があまりに優れており、他社の配信サービスは利用する気がない」など、音楽プレーヤーに合った別の音楽配信サービスを使うことに抵抗感を示す意見も散見された。
すでに紹介した意見のほかに、iTMSと既存の音楽配信サービス全体に対する意見・希望として多く挙げられていたものは「著作権保護の緩和」「ライナーノーツや歌詞などの配信」「配信方式の統一」「Sony MusicのiTMSへの参加」「CD並みあるいはそれ以上の音質での配信」などがあった。
全体のトーンとしてはiTMSの登場により、音楽配信サービスの現状が変わることを期待するものが多く、Macintosh上で利用できる初めての音楽配信サービスということで、Macユーザーからの歓迎の声も大きかった。
米アップルコンピュータ社が4日に開始した日本版の“iTunes Music Store”。
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iTunes Music Storeの発表会に登場した米アップルのCEOスティーブ・ジョブズ氏 |
その概要はすでにASCII24でも紹介しているとおり(関連記事1、関連記事2)。その特徴は、
- 100万曲と国内最大規模のライブラリー
- 中心価格150円(一部200円)と比較的手ごろな価格設定
- ユーザーの使い勝手や所有感に配慮した著作権保護技術“FairPlay”
- プレイリストを公開出来る“iMix”など豊富な機能
- Macintoshに対応している点
- iTunesとの統合により、ライブラリーやiPodとの連携が容易
──などが挙げられる。
アップルコンピュータは、サービス開始後4日経過した8日に「100万曲をダウンロード販売した」と発表しているが、参加レーベル数で国内最大規模の配信サイトであるレーベルゲート(株)の“Mora”の月間ダウンロード数が30〜40万曲台。iTMS登場以前では、もっとも楽曲を多く配信していた“着うた”フルでも100万ダウンロードを達成するのに2004年11月の開始から2ヵ月弱(6月15日に1000万ダウンロードを発表)かかったことを考えると、驚異的な数字と言える。
iTMSを受け、国内の音楽配信他社も活性化?
しかし、iTMSの国内サービス開始には多大な困難があったことは容易に想像できる。2003年4月に米国でのサービスが開始されてから国内のサービスが開始までには実に約2年4ヵ月の歳月を要し、全世界では20番目と他国に大きく遅れた。
国内での有料音楽配信は、1999年9月に(株)ミュージック・ドット・ジェイピーの“Music.jp”がMP3による音楽配信を開始。レーベル会社の(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)も同年11月にATRAC3を採用した“bitmusic(ビットミュージック)”を開始した。2000年4月にはSMEやポニーキャニオン(株)など12社が参加するレーベルゲート(株)が発足(関連記事1、関連記事2)。以降、国内の有料音楽配信サービスはレーベル会社が中心になって行なわれてきた。しかし、これらは必ずしも成功したとは言えない。がんじがらめの著作権保護や1曲300円程度という高価な価格設定に加え、曲目も制限されていた。さらにはCCCDと呼ばれるパソコンでリッピングできないCDの販売が行なわれたり、音楽ファンが多いと思われるMac向けの配信も行なってこなかった。
国内の音楽配信サービスに対してアップル(iTMS)の功績があるとすれば、中心価格150円(ただしアルバムの価格はレーベル会社判断)という比較的手ごろな料金設定とユーザーの使い勝手にも配慮した著作権保護技術“Fairplay”での配信という条件を“閉鎖的”と言われるレーベル会社に飲ませることで、権利者よりも使い手に近い視点でのサービスを展開できた点が挙げられる。FairPlayでは同時に5台のパソコンまで楽曲をダウンロードして保存できるほか、CD-RやiPodへの転送は無制限。iTMSのサービス開始後、同サービスに参加したレーベル会社を中心に料金改定と配信ルールの制限緩和が行なわれ、“Mora”や“MusicDrop”で配信されている楽曲の一部はiTMSと同一価格でダウンロードできるようになっている。
iTMSに今後改善を期待したい点を挙げるなら、サービス開始直後から100万曲をライブラリーするというiTMSだが、現在参加している15のレーベル会社が明確にはなっていないところが不満だ。avex trax、東芝EMI、GIZAといったメジャーレーベルが参加している一方で、Sony Music、ポニーキャニオン、Toys Factory、ワーナー、BMGファンハウス、キングレコードなどの著名レーベルは不参加。ユニバーサルミュージックや日本コロムビアは楽曲を提供しているものの、アーチストによって判断が異なり、“様子見”といった雰囲気がある。これらをいかに口説き落として、楽曲数を増やしていけるかが、さらなる普及・ユーザー数の拡大の鍵を握っている。
また、音楽のダウンロードに専用ソフト『iTunes』のインストールが必須な点や、ダウンロードした楽曲を転送できるプレーヤーが“iPodシリーズ”に限られてしまう点も、アップル以外の携帯音楽プレーヤーを使用しているユーザーにとっては不満を感じる部分かもしれない。販売戦略上、iPod以外のプレーヤーをサポートすることは考えにくい(米アップルの上級副社長フィル・シラー氏も“その意向がない”ことをインタビュー中に語っていた)が、店頭にはiPod以外にも数多くの国産プレーヤーがあり、音質やサイズ、バッテリー寿命などで有利な製品も多い。これらのプレーヤーで音楽配信を楽しむためには、別の配信サービスが“iTMS並みの価格と使い勝手”を実現する日を期待するしかない、というのでは余りに悲しい。
音楽配信とCD販売は区別する必要がある
iTMSのサービスは、他社が提供する音楽配信サービスにも確実に刺激している。CDショップに足を運ばず、自分の好きな曲をいつでも1曲単位で購入できるサービスは確かに魅力的だ。今後はレーベルメーカーも(iTMSに参加するかどうかは別として)音楽配信というビジネスに積極的に取り組まざるを得ないだろう。
しかし、仮に音楽配信が普及しても、現在の状態が続く限り、個人的には音楽CDを購入したいと考える層は存在しつづけると思う。圧縮音源は音質的に明らかにCDに劣るし、CDのパッケージに直接手に触れ、それを所有できるという部分に価値を見出す人は必ずいるし、ダウンロードした音楽でも本当に気に入った曲なら改めてCDで持っておきたい(コレクションしたい)と考えるユーザーもいるだろう。だからこそ、配信サイトやレーベル業者はユーザーの感覚や利便性を考えて、より多くのユーザーが“一度は聞いてみよう”と思えるようなサービスや製品の提供方法を考えることが重要になる。
アップルのシラー氏は「ユーザーの大半は“デジタルミュージックライフスタイル”を実現する上で“法律上安心できる”ことを望んでおり、そのためには喜んでお金をはらってくれることも分かっています」と語っていた。多くのユーザーは手軽かつ安価に音楽を入手できるなら、わざわざ著作権を侵害するようなことはしない。音楽配信は音楽ビジネスを拡大することはあっても、妨げることにはならないだろう。人が多く集まり、客層もよい“優良店舗=iTMSのようなユーザビリティーのいい配信サービス”に“商品=楽曲”を卸さずにビジネスチャンスをむざむざ逃すことは、レコード会社だけではなく、その曲を作ったアーチストや、その曲を楽しむユーザーにとっても不利益になる点は肝に銘じてもらいたい。
現在国内で利用できる音楽配信サービスは、iTunes Music Storeにも数多くある。そのすべてを紹介することはできないが、ここでは主要なサービスをピックアップした。レーベルゲートが提供する“Mora”や“MusicDrop”など楽曲数の多さが特徴の大手配信サイト。通好みのラインナップを集めた老舗の“Music.jp”、MSNやExciteといった大手ポータルサイトのサービス。SMEやビクターエンタテインメントなどレーベル会社が自社のコンテンツを独自に配信しているサービスもある。
このほか、また曲数は少ないが、CD(16bit/44.1kHz)よりも高音質な24bitの音楽データを可逆圧縮で配信している“e-onkyo STORE”、音楽配信のほか無料で視聴できる音楽データの検索も行なえる“Listen Japan”など、実はかなり豊富なサービスが用意されている。大半のサイトはATRAC3またはWMV形式での配信を行なっており、ATRAC3の場合はソニーが無償提供している音楽データ管理ソフト『SonicStage』や、配信/再生ソフトの『MAGIQLIP』、WMAの場合は『Windows Media Player 10』が必要になる。購入できる楽曲(タイトル)の確認だけなら、これらのソフトをインストールしなくともウェブサイト上で行なえるので、興味のある方はまず一度アクセスしてみてほしい。
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