2006年12月25日
ケーブルの呪縛から逃れるのだ
いきなりで何だが、デジタル機器を使うなら、ケーブルはないほうがいいに決まっている。
リモコンなどは言うまでもなく、インターネットも、キーボードもマウスも、ケーブルがなければ機器の利用範囲が広がるし、何より見た目がスッキリする。ユーザーにとってワイヤレスは、とても分かりやすいメリットなのだ。
とはいってもケーブルの呪縛に捕われている機器はまだまだ多く、ヘッドホンを使うiPodも例外ではない。カバンの中にiPod本体を入れて聴こうとすると、ケーブルの長さが足りないとか、ケーブルがどこかに引っかかってiPodから抜けてしまうとか、とにかく邪魔になってしまう。やっぱりヘッドホンをワイヤレス化したいのだ。
そこで今回は、プリンストンテクノロジー(株)の『PTM-BHP4』に注目してみた。通信方式にBluetooth 1.2を採用し、オーディオアダプターをiPodのDock端子に接続し、しこから専用のヘッドホンアダプターにBluetooth経由で音楽を飛ばして、ワイヤレスで聴けるという製品だ。
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『PTM-BHP4』には、iPodオーディオアダプター(左)と、ヘッドホンアダプター(右)が含まれる。対応iPodは、第4/第5世代iPod(photo含む)、第1/第2世代iPod nano、iPod mini。ヘッドホンアダプターの色は、ブラック/シルバー/ホワイトの3種類から選べる(写真はシルバー)。オーディオアダプターはホワイトのみとなっている |
iPod向けのワイヤレスヘッドホンといえば、これまでも(株)ロジクールやブルーテークジャパン、ラトックシステム(株)などが製品を投入してきている(「iPodをヘッドホンに差せばワイヤレスに!!」という逆転の発想(?)の製品もあったが)。
そうした製品と比べると、PTM-BHP4は以下の3点を兼ね備えているのが特徴だ。
- 好きなヘッドホンを使える(既存製品は大半がヘッドホン一体型)
- ワイヤレスで選曲操作を指示できる
- iPod以外に携帯電話機ともペアリングして通話に使える
要するに「ヘッドホンは今使ってるカナル型じゃなきゃ嫌。あと、曲をスキップするためにカバンからiPodを取り出すのは面倒だから、操作もワイヤレス化したい」──というワガママな要望に応えてくれる製品というわけだ。
ちなみにモバイルキャスト(株)の『iPod Bluetooth Transmitter (MPXAD500RI)』と『mLink R (MPX3000R)』を組み合わせても、上記の3要素を実現できる。
iPodの操作もリモコンからワイヤレスで指示
本機を実際に使ってみて、まず感じたのがセットアップ手順が簡単ということ。オーディオアダプターをiPodに差し、ランプが点灯したらヘッドホンアダプターの電源をオン。あとはiPod側で再生を始めれば、曲が聴こえるようになる。唯一守らなければならないのはこの手順で、ヘッドホンアダプターの電源を先に入れると同期がうまくいかない場合があるので注意したい。
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利用時の接続例。もちろんiPodはカバンなどに入れていてもOKだ |
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オーディオアダプターは、本体サイズが幅40×奥行き30×高さ7mmで、重量が10g。iPod nanoにつなぐと若干左側にはみだす |
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オーディオアダプター下にはminiUSB端子を用意し、パソコンなどにつないで充電しながら音楽を再生できる |
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あとは、ワイヤレスの快適さを満喫するのみ。通勤時だったら、オーディオアダプターをつないだiPodはカバンに入れ、ヘッドホンアダプターは背面のクリップで胸などに留めておけばいい。屋内で使うときならiPodを机の上に置きっぱなしにして、仕事や家事をしながら音楽を楽しめる。
無線の範囲を調べてみると、リュックサックにiPodを入れて聴くのはもちろんOKで、アスキー社内では10mくらいまで届いた。また自宅では、トビラをまたいだ隣の部屋でも聴くことが可能だった。
PTM-BHP4のオーディオアダプターで指示できるのは、前後の曲へのスキップ、ボリューム調節、一時停止/再生の5種類。音楽を流しながら数秒ずつ早送り/巻き戻ししていく操作には非対応だ。リモコンでiPodのメニュー画面を操作できるわけではないので、“曲をシャッフル”(ライブラリの全曲をシャッフル再生)で音楽を流しつつ、今は聴きたくない曲があったらサクサク飛ばしていくといった利用スタイルに合うだろう。同じトラックを繰り返し聞く英会話学習にも使えるかもしれない。
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ヘッドホンアダプターの上部にヘッドホン端子、左側面の上側に電源ボタン、下側にリモコン部がある(左)。背面にはクリップを用意(右)。ちなみに早送りやスキップなどを指示すると、ヘッドホン側に“ピッ”という電子音でフィードバックされる |
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ヘッドホンアダプターは、背面にあるクリップを使って、ズボンのポケットやカバンのベルトなどに取り付けられる |
先の特徴でも挙げていた、携帯電話機との使用もまずまずだ。別途、検証用に借りていた『Nokia E61』とペアリングしてみたが、iPodで音楽を聴いているときに電話を受けると再生音がストップして着信したことが分かる。この状態でヘッドホンアダプターの電源ボタンを押すと、通話できるようになる。
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ペアリング方法は以下のとおり。まず、ヘッドホンアダプターの電源をオフにして、携帯電話機でBluetooth機器を検索。ヘッドホンアダプターの電源ボタンを押し続けると、青と赤のランプが交互に点滅してペアリングモードに切り替わる。携帯電話側でヘッドホンアダプターを認識し、パスキー(“1234”)の入力を済ませれば完了だ |
軽く検証した限りでは、通話時の音質は聞き取りにくいということはなかった。ただし、通話時はにはヘッドホンアダプターを口元に持っていかないといけないのが少々恥ずかしい。機能自体は十分なのだが、ちょっと人目が気になる。ちなみに、E61では電話機側にメールが届いた際でも、再生中のiPodの音楽が中断されるので、着信音をオフにしていてもわかる。
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ヘッドホンアダプターに内蔵されているマイクを使って会話する。ドラマ『ツインピークス』(古い?)の主人公がテープレコーダーに声を吹き込む姿に似てるとの声も…… |
無線の快適さと音質はトレードオフ!?
さて、ワイヤレスがいかに快適といえど、PTM-BHP4が非の打ちどころがない製品というわけではない。例えば、音質面は気になる人が多いのではないだろうか。
Bluetoothのワイヤレスヘッドホンといえば、一般的に同価格帯の有線式ヘッドホンに比べて音質が劣ってしまうことが多い。実際、同じ密閉型のヘッドホンを、iPodに直結、PTM-BHP4経由という2パターンで試聴してみると、後者の方がシンバルやハイハットの音が歪むような印象を受けた。
また、周囲のノイズにも影響を受けるようだ。PTM-BHP4を使いながら町中を歩いてみると、時折、データ転送に遅延が起こって、曲のテンポが遅くなったり、早まったり、再生が途切れるということが起こった。今後の高速化や通信性能の改良が望まれるところだろう。
とはいえ遅延が起こったのは歩いているときだけで、電車の中や屋内で聴く際は特に問題がなかった。また、特に地下鉄などでは電車の走行音が大きくて、iPod純正のヘッドホンで聴いているぶんには音質の劣化もほとんど気にならない。
Macでも使える……はずだったのだが
また、ちょっと残念だったのがMacとペアリングできなかったということ。
パソコンでの利用は製品紹介のウェブページには明記されていない。しかし、マニュアルを見ると“パソコンなどの機器と接続する”という設定方法が紹介されている。筆者としては、オーディオアダプターにはマイクが内蔵されているのだから、Macと同期すればiChatやSkypeのボイスチャットに使えるのではと目論んだわけだ。
しかしPTM-BHP4はMacとペアリングできるものの、実際に『システム環境設定』の“サウンド”項目で入力/出力デバイスとして選ぼうとすると、アラートが出て接続が途切れてしまう。
プリンストンによれば、Mac OS X側が“A2DP”(AVオーディオ用プロファイル)と“AVRCP”(AV機器の操作用プロファイル)という、PTM-BHP4との通信に必要なBluetoothのプロファイルをサポートしてないことが原因とのこと。このあたりは、今後のMac OS Xのアップデートに期待したい。
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Mac OS Xでペアリングし、通信しようとするとアラートが現れる。念のためBluetooth 1.2モジュール内蔵Macと、Bluetooth 2.0+EDR内蔵Macの両方で試してみたが両方ダメだった |
PTM-BHP4の販売価格は1万4800円で、例えばヘッドホン型の競合製品である『FreePulse Wireless Headphones』と比べると、2000円ほど高くなる。「軽くてクリップスタイルを求めるなら、9800円の第2世代iPod shuffleのほうが安いのでは?」と考える人もいるかもしれないが、新しく買ったiPod shuffleに曲を転送するのも面倒くさいし、音楽ライブラリを一括で持ち出したいから大容量のiPodやiPod nanoを選んだという意見もあるだろう。
何度も繰り返すが、PTM-BHP4を使うメリットは、やはり使い慣れたヘッドホンをワイヤレス化できる点にある。ケーブルが気になるという人は、ぜひ試してみてはいかがだろう。
(編集部 広田稔)
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