Mac24

【レビュー】Mac上で“GyaO”の視聴も可能! Parallelsのソフト・ハード対応を検証
Parallels Desktop for Mac
米パラレル社
79.99ドル(7月15日までは49.99ドル)
http://www.parallels.com/

2006年06月25日

15日に発表された、Intel Mac初の仮想マシンソフトウェア『Parallels Desktop for Mac』(以下、Parallels)。インストール編とソフトの仕組みを解説した前回の記事に続き、Parallels上のWindows XPで、アプリケーションや周辺機器がきちんと動作するかどうかをチェックしていこう。


GyaOは見られるが、最近の3Dゲームは難しい

Parallelsで動かすWindows XPの使用感は上々。マイクロソフト(株)のオフィススイートに含まれる『Microsoft Word 2003』や『Microsoft Excel 2003』などはまったく問題のない速度で動作する。Macに対応してない(株)USENの無料動画配信サービス“GyaO”もストリーミング動画を視聴できた。

Macで作業しながらGyaOの動画も楽しめる(画像にはモザイクをかけています)

一方、PCゲームを見てみると、Parallelsはビデオカードのアクセラレーション機能を利用できないため、DirectXを利用したPCゲームの動作は厳しい。『電脳戦機バーチャロン』のようなひと昔前のゲームであれば何とかプレイ可能だったが、『FINAL FANTASY XI Vana'diel Bench3』は起動できなかった。最新3Dゲームはプレイできないと考えた方がいいだろう。また、CD-ROMの読み込みがうまくいかないため、起動にCDが必要なソフトも動作しない可能性が高い。

CDが読み込めないのは、ユーザーガイド(77ページ)にも記載されている「現状のParallelsは音楽CD上の音声を再生できない」という制限が関連していると推測される。実際、音楽CDの読み込みでもエラーが発生して再生できなかった。

バーチャロン
1997年発売の(株)セガの対戦アクションゲーム『電脳戦機バーチャロン』は、体験版がプレイできた
2006年発売のマイクロソフト(株)のリアルタイムストラテジー『Age of Empires III』はDirectXの問題で動作しなかった
信長
AOK
AOK体験版
(株)コーエーの『信長の野望 嵐世記』(左、2001年発売)や『Age of Empires II』(中央、1999年発売)など、起動にCD-ROMが必要なソフトは、ディスクの読み込みに失敗して起動できなかった。なおCD-ROMを必要としないAge of Empires IIの体験版は、カーソルがやや不安定になるが動作した(右)
音楽CDの読み込み
音楽CDの読み込みにも失敗する

ちなみに、Parallelsではウィンドウ表示以外にゲストOSを全画面で使用するフルスクリーン表示も可能だ。表示モード切り替え時のアニメーション効果は複数のパターンが用意されている。

また、Parallelsでは仮想マシンの状態を保存して終了するサスペンド機能はサポートされているが、『Virtaul PC』や『VMware』といったほかの仮想マシンソフトのように仮想ハードディスクドライブの変更内容を破棄して以前の状態に戻す“Undo”機能は備えていない。

Cube
フルスクリーンへの切り替えアニメーションで印象的なのが、ファストユーザースイッチのように画面全体が左回転する“Cube”エフェクト。標準状態はこのCubeに設定されている
切り替えアニメーションは、“Preferences”メニューから“User Interface”タブを開き、“Fullscreen option”の“Advanced”ボタンをクリックして表示される“Animation mode”項目で変更できる


ParallelsはUSB端子をサポートしており、USBストレージ等の一部のUSB機器を使用できる。ただし、USB 1.1規格準拠のポートとして認識されるため、機器側が対応していてもUSB 2.0規格の転送速度は得られない。手元の機器では、キヤノン(株)のデジタルカメラ『IXY DIGITAL 30a』はUSB経由で問題なく画像を取り込めた。また、ソニー(株)の非接触型ICカードリーダー/ライター『PaSoRi RC-S320』を使い、Edyへの入金やSuicaの乗り換え履歴の確認も実行できた。

30a
デジカメ
デジタルカメラ『IXY DIGITAL 30a』はUSB経由で画像を取り込めた
RC-S320
PaSori
ICカードリーダー/ライター『PaSoRi RC-S320』では、インターネットに接続して、クレジットカードからEdyに入金できた。なお、PaSoRiをMacにつなぐタイミングによっては、ドライバーのインストール後でも機器が認識されないことがあった。この問題は『デバイスマネージャ』を開き、RC-S320のデバイスをいったん無効にして、再度有効にすることで解決できた

プリンターやスキャナーは利用できず

一方、セイコーエプソン(株)のプリンター『PM-A700』は印刷時に、(株)PFUのスキャナー『ScanSnap S500』はスキャン時にエラーが発生して使用できなかった。現状では全てのUSB機器が使えるわけではないので、目当ての機器がある人は、Parallels購入前に試用版で動作確認しておくことをお勧めする。

スキャナー
ブルースクリーン
スキャナー『ScanSnap S500』では、スキャンを指示したあとにブルースクリーンが現れてOS自体が操作できなくなってしまう


Windows XP SP2のみ対応しているBoot Campと異なり、さまざまなOSをゲストとして使えるのもParallelsのウリのひとつだ。筆者の環境では『Windows 2000』、Linux(『Ubuntu 5.10日本語版』)、FreeBSD(『DesktopBSD 1.0』)が問題なくインストールできることを確認した。

Win2000
『Windows 2000』は機能は十分なうえ、Windows XPより動作が軽いので仮想マシン用としてもお勧めだ
linux
『Ubuntu』はLinux初心者にも扱いやすいDebian系ディストリビューション
BSD
『DesktopBSD』はFreeBSD 5系をベースとしたデスクトップ志向のOS

ただし、Parallels独自のドライバー“Parallels Tools”は、現状ではLinuxやFreeBSD向けに提供されておらず、マウスポインタの連動や共有フォルダーなどの機能が使えない。

また、ParallelsですべてのPC用OSが利用できるわけではない。BeOSのフリー版(Personal Edition)をベースとしたディストリビューション『BeOS 5 PE MAX Edition』のv3.1 Betaは、CDから起動の直後にカーネルパニックが発生した。

最近一般ユーザー向けにも公開された次期Windows『Windows Vista』のBeta 2は、ParallelsのBIOSがACPI未対応のためインストーラが起動できなかった。Windows VistaはParallelsの将来のバージョンでサポートされる予定だ。

BeOS
BeOS 5 PE MAX Edition v3.1 Betaのインストーラではカーネルパニックが発生。なおゲストOSでカーネルパニックが発生してもMac OS X側に影響はない
Vista
『Windows Vista』のBeta 2は、ParallelsのBIOSがACPI未サポートのためインストールできず


最後にParallels Toolsにも触れておこう。インストールすると、ビデオ/サウンド/ネットワークのドライバーが組み込まれるほか、ホストOS/ゲストOS間でデータをやり取りできる共有フォルダー機能“Shared Folders Tool”が使用可能になる。

ゲストOSを起動する前のParallelsの環境設定で、Mac OS X側のフォルダーを指定(例えば“書類”など)。ゲストOSのデスクトップにある“Parallels Shared Folders”という名前のショートカットアイコンを開くと、共有設定したMac OS X側のフォルダーにアクセスして、ファイルをやりとりできる。Virtual PCのようにゲストOS/ホストOS間のドラッグ&ドロップでファイルをコピーする機能は、現状のParallelsではサポートされていない。

また、クリップボードの共有機能“Clipboard Synchronization Tool”により、Mac OS XとWindowsの間でテキストデータのコピー&ペーストが可能だ。ただし、Windows側からMac OS X側へのコピーは問題ないが、Mac OS X側からWindows側に日本語を含むテキストをコピーすると文字化けしてしまう。

そのほか、Parallels Toolsのインストールで、ホストOS/ゲストOS間でショートカットキーを使わずにマウスを行き来できる“Mouse Synchronization Tool”や、ゲストOSの時刻をホストOSに合わせる“Time Synchronization Tool”などが組み込まれる。

Shared Folders
ゲストOSのデスクトップに置かれたショートカットアイコンから共有フォルダーにアクセスできる
Clipboard
Mac OS XからWindowsに日本語をコピー&ペーストすると文字化けしてしまう

Parallelsは“買い”か?

Parallelsは最新3Dゲームや周辺機器の互換性ではBoot Campに劣るものの、ウェブブラウザーやOfficeスイートなど一般的なアプリケーションの使用では十分な速度と機能を備えている。

また、使用していないWindows 2000のライセンスを有効活用したい、LinuxやFreeBSDなどのOSを手軽に試してみたいというユーザーにもお勧めできる製品と言えるだろう。


【結論】

【○】再起動せずにMac OS XとWindowsを同時に使える。Windowsに限らず、LinuxやFreeBSDもゲストOSとして起動可能。体感速度もWindows PCと変わらず、ウェブブラウザーやOfficeスイートなどは正常に動作する。

【×】 ユーザーインターフェースが日本語化されていない。ゲームやプリンター/スキャナーなど、動作しないアプリケーション/周辺機器もある。



(田中俊光、編集部)




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