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【特別対談】二大企業の重鎮が語る、アップルへの提言――第1回「MacのCPUは何でも構わない」

Printable Version MacPeopleMacPeople 2006年4月号
2006年04月10日


大事なのはCPUではなくソフト

――そのMacがついにインテルCPUを搭載するわけですが、新しいiMacを実際に触ってみていかがですか。


【西岡】 Macというのは、ソフトが楽しくてセクシーだから魅力的なので、それがどんなCPUで動くかというのはそんなに大事ではない、というのが私の見方です。


【古川】 そうそう、その通り。


【西岡】 大事なのは“どんなCPUになったか”ではなく、“これまでのMac用ソフトがちゃんと動く”というソフト側の問題。これさえしっかりしていれば、本当はCPUなんてどこのメーカーのでも構わない。

出来るだけコストパフォーマンスの高い、どんどん進化するCPUを使うのがアップルにとって得策ですし、ユーザーも幸せです。その点、生産台数をアップルに依存するPowerPCよりも、世界中で年間に何億個と利用されて進化し続けるインテルCPUは有利ですよね。

今回も“Intel Core Duo”がデュアルコアによる並列処理で、例えばバックグラウンドで音楽をダウンロードしたり、ウィルス検出のためのセキュリティーソフトを実行しながら、大量のグラフィックを駆使するゲームを楽しむといった、Macユーザーのライフスタイルにぴったりのサポートをしています。

Deeper Sleep機能も必要なプロセッサー領域のみに電力を供給できるので、ノートPCのバッテリー持続時間が向上するという新機能も喜ばれるのではないでしょうか。


【古川】 そうですね。


【西岡】 PowerPCは、パソコンメーカーとしてはアップルだけが採用してきたCPUです。IBMのオフィスコンピューターやワークステーションにも使われましたが、数的には微々たるもの。

マイクロプロセッサーの進化というのは、そもそも消費量に支えられているので、アップルが今回、世界中のパソコンメーカーに消費されているインテルCPUにくら替えしたのは得策で、むしろ「やっと決めたか」というのが実感ですね。

インテルを採用したからといって(インテルiMacを指して)この通り本体のデザインが変わるわけでもなければ、“Intel Inside”のシールが張られることもない。つまり、インテル移行はMacユーザーにとっていいニュースであって、悪い要素はどこにもない。Macのユーザーにとっていちばん大事なのは“ソフト”なんです。


【古川】 確かにそうなのですが、アプリケーションソフトだけに絞って言えば、今の時代、Macだけで動くソフトはほとんどなくて、多くはWindowsでも動く。

そうなったときに、Macの魅力の最後の砦となるのは、どの部分かというと、Macを使うという“ライフスタイル”や“デザイン”ではないでしょうか。これは意匠デザインという意味でのデザインではなくて、生き様、生き方のデザインという意味ですね。


――ソフトそのものではなく、そのソフトが可能にするものが大事という話ですね。


【古川】 そうです。この点に関して、アップルは本当にすごい。今回も、インテルMacをサポートしてユニバーサルバイナリー製品を出すと、米アドビ システムズ社やマイクロソフトを一方で紹介しておきながら、その一方では彼らと競合しかねない『Aperture』や『iWork』を自信満々に紹介している。しかも、どちらのソフトもすごくいい。

確かに『Microsoft Office』は、Macが企業に受け入れられるうえでは必須のソフトだけど、最近は書類フォーマットのXML化や互換性、オープン標準といった方向に進化している。

これに対してiWorkはクローズドでも、グラフの出し方とかそういった見栄えの部分に注力するという、斬新な発想のアプローチを見せていて、ワークスタイルとかワークフローまで変えてしまいそうな勢いを感じる。Apertureや『Final Cut Pro HD』も同様で、「『Adobe Premiere』とか、このままでいいの?」と心配になってしまう。


――ソフトそのものの話か、ライフスタイル/ワークスタイルの話か、という違いはありますが、CPUは無関係という点では古川さんは西岡さんと同意見と考えていいのでしょうか?


【古川】 そうですね。それにしても、アップルのソフト戦略はすごくて、インテルCPUに至るまでの戦略も見事ですよね。異なるCPUへの移行は簡単にはできません。だけど、アップルはいつの間にか“Mach”カーネルを採用して、UNIXベースの米ネクストステップ社の技術を使ったMac OS XにOSを移行している。だからこそCPUの移行も簡単にできたわけで、まずはこの点がうまい。

あと、スティーブ・ジョブズの基調講演でのインテルiMacの発表もすごかった。奇をてらって、まったく新しい形を出してくるのではなく、前のiMac G5と比べて「形も同じ、機能も同じ、(米国では)値段も同じ」と持って来て、「それじゃあ、何が違うの?」と自問したあと「スピードだ!」と答える。

あれを見て、アゴが外れるほど驚きました。いちばん重要なライフスタイルとかの部分で同じ体験を踏襲する。これが大事なことで、CPUはどこのメーカーのでも構わないのです。(次回に続く)



(林 信行、編集部)


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